小説レビュー その他もろもろとか。

2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1034ページ
ナイス数:130ナイス

7月24日通り (新潮文庫)7月24日通り (新潮文庫)感想
エゴイスティックな内なる想いにすっくと立ち上がる物語。主人公小百合は少し嫌な女だ。父親や弟、その彼女らに自らの価値観で感情をぶつけ、それでいて自身の恋路は不釣合いではないかと気づきながらも舞い上がってしまう。自分の住む街にリスボンを重ね合わせ『7月24日通り』などと秘かに呟く自慰行為も然り、ただならぬ高慢ちきぶりなのだ。でもこの気持ち、誰しもが持っている感情だとも思う。もちろん理性があって表に出すことはないけれど。だからこそ理性の箍を外そうとする小百合の勇気に心を揺さぶられる。そう、自分が明日を選ぶのだ。
読了日:5月27日 著者:吉田修一


ミルキー (講談社文庫)ミルキー (講談社文庫)感想
憂いを帯びた女たちの戯言がさざ波を寄せる12作の短篇集。主人公は、男も女も常に上から目線で物語を進めてゆく。特に醜い女たちの描写は目を背けつつ指の隙間から覗き込みたいほどの魅力に満ち溢れている。縋る男のだらしなさを描いた表題作の『ミルキー』と、狡猾でありながら決してその醜い心根を零さない女の話『器量よし』がお気に入り。執拗に醜い女だと心の奥底で侮蔑を繰り返していた主人公の女が、わずか最後の数行でみせた頬につたう本音・・・作者である林真理子さんの優しさと強さが垣間見える瞬間だ。人の人生は男と女とで作られる。
読了日:5月19日 著者:林真理子


お客様が「減らない」店のつくり方 (DO BOOKS)お客様が「減らない」店のつくり方 (DO BOOKS)感想
お客様を減らさない方法論として、既存客に対してのえこひいき論や3ステップカード、人間を売る方法など今回あまり触れずにDMやニュースレターの重要性を前面に展開されている。値引きチラシのばら撒きではなくデータによる攻めの営業は実に魅力的で効率が良い。過去の書籍を総動員して読み直さないと本書の良さが微妙に伝わらないところもあるのだが、バスタブ論における既存客の重要性を問う話はケータイ3社に聞かせたいところ。例えばドコモを10年使い続けてても他社ケータイから乗り換えた人のほうが安く契約できるとか本当バカにしてる。
読了日:5月16日 著者:高田靖久



メグル (創元推理文庫)メグル (創元推理文庫)感想
不思議な体験の中に温かさと冷たさが同居するイノセントストーリー。奨学係の女性職員より斡旋される短期アルバイト先での出来事が綴られた五篇の連作短篇。ファンタジーでありながら寓話的な側面も持ち合わせていて浮遊感を感じながらも心に棘が刺さる。一話目の『ヒカレル』の<引く手>という設定が秀逸。内容は想像の範疇にあったので、もう少し直接的でない表現のほうが好みではあったのだけれど。最終話の『メグル』の世界観もよい。投げっぱなしの終わり方もどこかフランス映画を思わせるような余韻を残していて続いてゆく時間に酩酊しそう。
読了日:5月9日 著者:乾ルカ

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2014.06.06 / Top↑
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