小説レビュー その他もろもろとか。

2014年4月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:935ページ
ナイス数:316ナイス

あるキング (徳間文庫)あるキング (徳間文庫)感想
シェイクスピアの『マクベス』をオマージュした現代版の戯曲。スタイリッシュな雰囲気を纏った寓話のようであり『フェアはファウル、ファウルはフェア』という哲学的な一節を様々な解釈で繰り返しながら物語は酩酊するよう。きれいは穢い、穢いはきれい、正しいことが喜ばれるとは限らない・・・生きてゆくなかで人は自問自答するだろう。王という頂点に達するとき、人は生きる意味を失うのかもしれない。死ぬために生きる、終わりは始まり、人類としての存在意義を考えれば天地創造は神の愚行なのかもしれない。人を創った過ちは輪廻転生するのだ。
読了日:4月22日 著者:伊坂幸太郎


くちびるに歌を (小学館文庫)くちびるに歌を (小学館文庫)感想
NHK全国学校音楽コンクールに出場する中学生の物語。舞台は長崎県五島列島。『手紙~拝啓 十五の君へ~』の曲に准え子どもらは15年後の自分に向けて手紙を綴っている。少年少女の悩みは、崩壊した家庭であったり、障がいを持つ兄と暮らす諦めた自分であったり、将来島を捨てて都会へ行くのかなど、小さい心に抱えきぬ程の想いを託している。この未来の自分への手紙とは、実は今の自分自身への正直な心の声なのだ。本物の初恋とは、ドキドキとワクワクと、ちょっぴりイライラする青くささだと、全篇を通してそよぐ爽やかな風に自然と涙が伝う。
読了日:4月7日 著者:中田永一


白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)感想
人間が持つ悪意を独白形式で小出しにするトリッキー本。本作で起こった殺人事件はもはやオマケでしかなく、犯人など最初から誰でもよかったのかもしれない。物語の本質は、個々の証言の不確かさや真実が歪曲する過程、ネットでの拡散や週刊誌が導くゴシップ化で踊らされた現代社会へのリアリティーであろう。白雪姫とは素直な一般人の隠喩であり、偽の情報で毒リンゴを食べさせられてばかりな現代社会だと捉えてみた。現実の世界で王子様など現れない。ただ、社会のそこかしこにいる醜い王妃に対し、焼けた鉄の靴を履かせ死ぬまで躍らせる輩は多い。
読了日:4月1日 著者:湊かなえ

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2014.05.04 / Top↑
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