小説レビュー その他もろもろとか。

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2914ページ
ナイス数:301ナイス

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)感想
目が不自由という設定を重く感じさせないストーリー展開と、行き詰る緊張感、二人の心が密かに通じ合い始めるという温かさと、その対極に位置させた、社会に適応できない生きることが下手な人が抱え込む孤独や不安感とのバランスが絶妙であり、ホラーやミステリーの要素を含みながらもファンタジックな作品という<白乙一>の真髄をこれでもかと魅せつけられたよう。お互いの息遣いを心で感じる・・・視覚で惑わされないというところから、やがて声を伝え、そして手が触れる。不思議と信頼してゆく姿には涙が誘われる。もう事件はオマケでしかない。
読了日:6月28日 著者:乙一
最終便に間に合えば (文春文庫)最終便に間に合えば (文春文庫)感想
男のズルさと女の強かさにプライドが絡み合う・・・そんな感情が過去と現在を行き来する表題作である『最終便に間に合えば』 過去の些細な愚行に愛想をつかした主人公美登里が別れてから二年・・・ついでと称して過去の男長沼と食事を共にする話。この二人の間に流れる微妙な空気の揺れに読者は翻弄されてしまう。こんな男・・・と思う読者も、搭乗時刻に間に合うのか否かにハラハラしてしまうのだ。<してやったり>という気持ちとはよそに、やはり過去は美化された記憶として残るのだろう。振り払う潔さと苦さが今の女性を暗示しているようだ。
読了日:6月24日 著者:林 真理子
トリアングル (中公文庫)トリアングル (中公文庫)感想
私小説に限りなく近いのではなかろうか。自身の結婚観と恋愛観を登場人物に語らせているように思える。言わなければわからないことはそのままでいい・・・都合よく聞こえて、多分おおよその人には反感を買うであろうこの言葉も人間の真理だとワタシは思う。知らなくていいことや言わなくていいことは間違いなくある。本当と真実は違うのだ。恋愛と結婚の次元は違う。ただ結婚とこどもを授かることもまた別だと云う。恋愛とは嗜好品であり結婚とは日々の生活が伴うもの・・・ただ・・・。シングルマザーとして活躍する俵さんの姿がみえてくるようだ。
読了日:6月22日 著者:俵 万智
不連続の世界 (幻冬舎文庫)不連続の世界 (幻冬舎文庫)感想
ミステリーとファンタジックホラーの融合か。不思議な現象に遭遇する主人公<塚崎多聞>が、その謎をひも解く五篇の短篇集。最後に収められた『夜明けのガスパール』がやはりいい。オマージュ的な意味合いもあるのだろうが、虚構と現実の狭間に揺らめく主人公の描写に息がつまる。人間の精神とは、極限まで追い詰められると自己防衛本能が発動するのだろう。あちら側の世界へと堕ちる気持ちよさを読者は感じ取り、そこから引き戻される瞬間の不安と安堵を綯い交ぜにした<揺り戻し>に読者は逃れる術がない。場所は年月を経て記憶を持つことになる。
読了日:6月14日 著者:恩田 陸
真夏の方程式 (文春文庫)真夏の方程式 (文春文庫)感想
数々の事件を経て湯川自身も成長しているのだろう。過去から未来へと結ぶ時間軸に託す想いが今回一段と強く感じられる。負の連鎖への幕引きを生きる時間に託すとは、過去の湯川からは想像できない人間味溢れる行動だ。人の哀しみが湯川の心に何か化学反応を起こしているのだろう。『君は一人ぼっちじゃない』という言葉の裏側には、一人ぼっちで悩みを抱えたまま堕ちてしまう人間の弱さを知った慈愛を感じてしまう。哀しみを抱える人生と、科学に没頭する湯川の今に何か繋がりはないのだろうか?変人になる前に哀しい過去を抱えてはいないだろうか?
読了日:6月11日 著者:東野 圭吾
バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)感想
『ゆうびん小説』・・短篇が書き終わるごとに五十名の方に発送するという企画の文庫化。編集者の企画が秀逸!主人公星野が五人の女性それぞれに別れを告げる連作短篇である。章を追うごとに伏線と謎が入り乱れ、書き下ろしの六章で未来に導かれるという構成の妙が楽しめる。五章ヒロインである『女優女』はとびきりいいオンナで描かれていて別れが惜しまれる。何故星野は連れて行かれるのか?同行する繭美の存在とは?閉じない、回収しない・・・その取捨選択と潔さが哀愁と希望の余韻を紡ぎだしていて、タイトルにもなった名曲が心で踊りだすよう。
読了日:6月7日 著者:伊坂 幸太郎
SKAT. 12SKAT. 12感想
買わなくてもいいかと思ってたけど、せっかく協賛企業賞受賞したし一冊くらいあってもと購入。想像以上に視点てカブるもんだね。興味ない人がみても『なるほどねー』な感じはわかるんじゃないかな?そんな暇つぶし雑誌。興味ある人は今年も9月1日から開催するよ!賞金100万円目指してみよー!
読了日:6月5日 著者:
プラチナデータ (幻冬舎文庫)プラチナデータ (幻冬舎文庫)感想
個人のDNAデータを国が管理するならば犯罪抑止に繋がるのだろう。もちろんプラチナデータの存在も暗に囁かれるに違いない。現実でもマイナンバー制度導入が決まり、個人情報管理の難しさや危うさが問題になることだろう・・・ここにプラチナデータが存在するかもしれないと思ってしまうのは著者に影響されすぎか。この物語の背景は、データ社会の脆さを浮き彫りにしてしまう<人間力>であり、人を信頼する行為の是非であろう。データを管理するのは心を持った人間だからだ。どちらにしても国が抱える悪しきDNAを断ち切らなければ未来はない。
読了日:6月1日 著者:東野 圭吾

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2013.07.01 / Top↑
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