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5月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1280ページ
ナイス数:190ナイス

聖女の救済 (文春文庫)聖女の救済 (文春文庫)
物事を考える時『先入観』は大きな障害になる。殺すために生かすとは?論理的思考から湯川が導き出した究極の答えは『完全犯罪』・・・著者は『コーヒーメーカーの欠点はインスタントコーヒーの味がだせないこと』と先入観に惑わされないよう読者に語りかけていたけれど、女の執念というか、愛するが故に日々呪詛を唱えるという悲哀は救われない。それにしても草薙刑事の動揺と苦悩を見抜く内海刑事の洞察力にはっとさせられる。草薙の淡く儚い想いは、空き缶で作った如雨露からさらさらと零れ堕ち、刑事としての理性と信念が最後に残ったのだろう。
読了日:05月21日 著者:東野 圭吾
チルドレン (講談社文庫)チルドレン (講談社文庫)
軽いミステリーの要素を散りばめた短篇五篇。構成の妙を得て連作長篇の趣もある。語り部は変われども、要所で陣内自身の生き方が鮮やかに描かれ、この殺伐とした社会にほんのり希望と温かさを残してくれる。家裁調査官とは人の心の柔らかい部分に入り込む難しい職業であろう。『子供のことは英語でチャイルドと呼ぶけれど、複数になるとチャイルズじゃなくてチルドレンになる・・・別物になるんだよ』と揶揄した一行が深く、集団になると何故か歪む心理に弄ばれる未成年が心に浮かび薄ら寒い。少年は社会学の統計ではなく誰にも似ていないのだから。
読了日:05月15日 著者:伊坂 幸太郎
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)
母と娘には血の繋がりと同性という柵が付き纏う。昨今姉妹のような親子が持て囃される中、実際疎ましく思う瞬間も多々あるに違いない。女性特有の面倒くさい関係・・・そんなリアルに目を叛けさせない著者の意気込みは『すべての娘は、自分の母親に等しく傷つけられている』という一節に垣間見える。母親を殺め逃亡する友人を追ってゆくストーリー。その道中、心に秘めた違和感と共鳴する真実が混沌と靄のかかった結末に一筋の光の手を差し伸べる。娘は母親に、母親は娘の中に間違いなく自分が映る瞬間を避けられない。そのしがらみは悲劇だろうか。
読了日:05月07日 著者:辻村 深月

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2012.06.11 / Top↑
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