小説レビュー その他もろもろとか。

4月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1438ページ
ナイス数:187ナイス

極北クレイマー 下 (朝日文庫)極北クレイマー 下 (朝日文庫)
すっきりとした結末でなく、医療が目指す道標を探求する次作品に期待。著者の馳せる<国民総クレイマ->という論理は極論であるにせよ、真面目に働く医師が糾弾されるという事例は後を絶たない。患者のためを思っての行為が、マスメディア次第で美談にも罪過にも捻じ曲げられる。黙して語らずという日本人の美徳と比べてはいけないが、ここ最近文句を言ったもの勝ち、ゴネたもの勝ちの風潮を強く感じてならないのも事実。人の命を預かり激務と闘う医師たちが、権力闘争やマスの非難によって職務に集中できなければそれこそ医療崩壊ではなかろうか。
読了日:04月23日 著者:海堂 尊
極北クレイマー 上 (朝日文庫)極北クレイマー 上 (朝日文庫)
財政破綻に陥った北海道夕張市がモチーフなのは一目瞭然。小説なのでそれは脚色をされて描かれているのだろうけど、差し引いて読んでいても現実にあり得るであろうお役所の一面が窺い知れる。まさかハリキリボーイが次々と無能な役人たちをなぎ倒して活躍する類の話ではなかろう・・・著者特有の巨大組織を揶揄する事例の数々と<姫宮>というお馴染みでもある強烈なサブキャラの存在が印象的な上巻。腐敗した市民病院と医療事故など複数の伏線を張って下巻へと興味を抱かせる。姫宮の<上司>の出番が回ってこず少々残念な気もするがそれもありか。
読了日:04月23日 著者:海堂 尊
とっても不幸な幸運 (双葉文庫 は 18-1)とっても不幸な幸運 (双葉文庫 は 18-1)
装丁に惹かれて手に取った。新宿場末のBAR『酒場』に集う人間模様を映し出す連作短篇集。100均の缶をきっかけに起こる幻影は、それぞれの抱える悩みを現実に晒しだし対峙しなくてはならなくなる。それは常連客の賭けの対象でもあるのだが、その不幸極まる状況に気付かされることが幸運の始まりであり、どのような結果が導かれようとも温かい時間はやってくるのである。終章の『自分を待ってくれているはずの場所』という言葉が深い。飛ぶように移りゆく世の中で変わらず帰る場所があるということは、何ものにも代え難い幸せではないだろうか。
読了日:04月18日 著者:畠中 恵
心霊探偵八雲7  魂の行方 (角川文庫)心霊探偵八雲7 魂の行方 (角川文庫)
それぞれのキャラクターたちは円熟を迎え、いよいよクライマックスに。1巻から読み続け、ここまでの道のりを経て石井くんはタフになったし、後藤さんは父性に目覚め、八雲に至っては愛情の本質に気付き始めている。逆に晴香は姉の死を乗り越えてからの人間的成長が描かれることが少なく、八雲を想うおまけ的キャラクターに甘んじているよう。大円団に向かって八雲の父親は人間の心を取り戻せるのか?また八雲の能力は父との対峙を乗り越えた時に消え去るものなのか?予定調和でありながら期待せずにはいられない・・・映像化が待ち遠しい作品です。
読了日:04月11日 著者:神永 学
ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
栞子さんの推理が今回も冴え渡る。曰くつきの書籍は数多くあれど、それを題材に軽くミステリーを絡めたこのシリーズ・・・おっもしろい!ラノベの性であるキャラ設定で『萌え』な部分が目についちゃうのが残念なほど完成度が高いのだ。相変わらずワタシは古書マニアではないので、ペンネームの違いで価値が変わるとかそんなに興味がないのだけれど、本に託す想いやメッセージなど二冊目にきてひしひしと感じている。電子書籍では伝わらない何かが頁に宿るんだなー。偶然や発見は検索では出会えない。古書にはそんな力が秘められてると気付かされる。
読了日:04月02日 著者:三上 延

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2012.05.07 / Top↑
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