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ホルモーなる競技をご存知でしょうか?
聞いた事がない?という方は『鴨川ホルモー』を読んで学習してから本書『ホルモー六景』を拝読して頂きたい。
そう、今回は鴨川ホルモーのスピンオフ的な物語六篇の短篇集なのである。

ワタシの想像するところ、全編に渡って後付けで考えた物語じゃないかな?って思う。
ただ、それにしては良く考えられている・・・本編に伏線があったかの如く普通にスピンオフが決まってるのだ。
『鴨川ホルモー』からこの『ホルモー六景』に流れた人は、『二人静』の熱い友情や、凡ちゃんの『休日』、同志社大学がなぜホルモーに参加していないか?など

『へー!』

ってなること間違いなし!
独特のホラ基調に乗っ取って、ぐいぐい引き込まれて行く。

そんな調子で、くすくすと笑い、腹を抱えて笑い、そして『おぉー』ってなることだけを想像してたもんだから、『もっちゃん』の話で<あれっ>ってなった・・・ちょっとホロリとさせるのだ。

もっちゃん→梶井基次郎(大正から昭和初期に作品発表・・・没後に人気)がモデルっていうかそのものだけど、この物語は国語の教科書にも良く取り上げられる『檸檬』のオマージュと思われる。
梶井基次郎
汽車で出会った同志社大学の女学生に一目惚れして、キーツの詩集を渡すところなどそのまんまだ。物語の中で安部に渡す恋文は、後に梶井幻の処女作といわれる作品のパロディだろう。
普通にこの梶井基次郎の生涯は泣ける話なので、こんなところで出て来てびっくりした。
更にはここに『檸檬』という、さだまさしの名曲を持ち出してくるところにも巧さを感じてしまう。



新釈走れメロス 新釈走れメロス よきライバルであり、必ず比較対照されるモリミーこと森見登美彦さんも『桜の樹の下には』のパロディを『新釈走れメロス』で執筆してるあたり、梶井基次郎を巡る両者の火花がバチバチ感じられる(そんなことないか?)
まー万城目さんは泣かせにきて、モリミーは笑わせにきたってところだけど。

そして最終話『長持の恋』である。
泣けちゃうなー。
こんな嘘八百のホラ話満載だったはずなのに、ずるい(笑)
勘のいい読者なら東京ガスの『ガス・パッ・チョッ』のCMを思い出した人がいるんじゃないかな?
ワタシは真っ先に思い出した。
関西圏では放送がなかったかもしれないので要約すると、何の因果か織田信長が現代の家庭にタイムスリップして現れるという連続性のあるCMで、毎回織田信長が『便利だねー』みたいなノリで東京ガスの製品に感心するというCMだった。



ところが視聴者がこの織田信長と妻夫木くんのやりとりに慣れてきたころCM内容がシュールに展開して『うっ』と息を呑んでしまった・・・織田信長が自分の時代にそろそろ帰ると言い出すのだ。時は天正、本能寺だ!もちろん妻夫木くんは戸惑いを隠せない・・・織田信長は『達者でな』とかいっていなくなる・・・



もはや東京ガスのCMどころじゃない!たかだか30秒で泣かされるとは思ってもみなかった。同じ現象がこの『長持の恋』でも起こってしまったのだ。


なんてゆーか純愛なんだ。切なくなるほどの純愛をぶつけてきて、ちょんまげの中に琵琶湖を発見させるあたり・・・本当泣かせるわぁ。
まーよくわかんないと思うけど、読んだ人は『あぁ』と心温まってると思う。こんなに馬鹿げた大嘘つきのホラ話を繰り広げてるのに、ここでこれかぁという展開に極上のデザートを食べた気分(笑)

ちなみに上記東京ガスのCMは、信長が何食わぬ顔で登場して妻夫木くんが唖然とする続編があり、視聴者もほっと胸を撫で下ろしたんじゃないかな。





と、だいぶ脱線して本編と掛け離れてしまいましたが、今回のキャッチコピーを考えると、



恋も友情も、オニの歴史はずっと見守ってきた。

こんな?ちょっときれいにまとめ過ぎた(笑)

ホルモー六景

ホルモー六景


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2011.09.25 / Top↑
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