小説レビュー その他もろもろとか。

ちょろっとミステリーを読みたくなり、東野圭吾さんにご登場願いました。

特に何か人気シリーズの一つという訳ではない単発な作品ながら、小粋な仕上がりに感じます。
重々しい人間ドラマを含んだ大作でないから少々小粒なんだけど、それでもラストは家族としての一つの形を読者に想像させるべく、もはや職人芸的な幕引きがなされて『なるほどねぇ』な読後感に浸ることができました。

倒叙ミステリーの変形みたいな感じで、主人公である並木俊介の妻である美奈子が、俊介の愛人である高階英里子殺害を告白する。ただどうにも周りの状況が腑に落ちない・・・不自然な状況の中、俊介が事の真相に辿り着くまでがこの物語の肝であるのだ。

解説にも書いてあったけど、登場人物の内面描写がなされていないんですよ。
故に登場人物に共感したりとか、そーゆう湧き上がる情感みたいのはいっさいない(笑)もう本当ミステリーに没頭するように完璧に作られた構成であって、本格ミステリーっていうか、著者の読者への挑戦なんでしょうね・・・こんなのはどうですか?みたいな。

主人公である並木俊介が本文のどこで疑問に思い、どこから真相を探る行動に出たのか?とかそんなところまでも読者は推理しなくてはならない。そして読者も主人公同様に推理して真犯人の存在に気付いていく・・・ところがその真犯人を追求することで、俊介自身の首を絞めている・・・そう自分自身の首を絞めていく行為に驚愕し、俊介の選ぶ決断に、読者は『うーん・・・そうかぁ』と唸らなくてはならないのだからたまらない。

家族、父と子、妻と自分・・・など、がんじがらめのようでいて、実は単純に考えると普通の結果なのだ。
そうは思わせない作家魂というか筆力というか、作風は違うけど、森村誠一さんみたいな安心して読める推理小説という位置づけですよ・・・東野さんは。

この東野圭吾さんのミステリーや人間小説みたいのばっかり読んでるけれど、今度は違う作風のも読んでみようかな・・・。安心して読めるけど、何か完成されちゃってる風でもあって出会った最初の衝撃が薄れてきちゃってるんだよねー(笑)
無いものねだりというか、この圧倒的な筆力の違う何かが読みたい!っていう妙な感情がむくむくといま湧きあがってますね(笑)

作品についてあんまり触れてないけど、触れると思いっきりネタバレで要約とかできないの。なので興味ある人はBOOKOFFで立ち読みして(笑)いやちゃんと買ってね。


本のキャッチは、


湖畔の秘密とは、私たちの真実かもしれない。


レイクサイド

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2011.09.07 / Top↑
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