小説レビュー その他もろもろとか。

角川スニーカー文庫ということもあり、いわゆる<ライトノベル>ですね。
何だか可愛らしい挿絵とかもあってキュンとする感じがまたいい(笑)

で、私事ですが、今新しい仕事に取り組んでいて覚えることが山ほど!!!!なんで、新たに本を買う精神的余裕がなく、さっと読める過去の本を取り出して読んじゃったりしてるわけ。
今までは週3~4ペースで読んでましたが、これからはそうもいかなくなるなー。週一で読めればいいほうかな?仕事を覚えて余裕が生まれたらもう少し変わるかもしれないけど。

『失踪HOLIDAY』は結構昔に買った本で※初版だと十年前の本ですねこの頃も時間なくてさっと読める本を探していた記憶がある。
当時は<乙一フィーバー>言い回しが古臭いがで、数々の短篇が映画化されてたんじゃないかな?日本映画界が少しずつ息を吹き返してる頃だね。
この本では表題作ともう一篇『しあわせは子猫のかたち』というニ作品を収録。

では、気になった『失踪HOLIDAY』からの一節を少し・・・




わたしは菅原家を追い出されるにちがいないと思った。家の誰とも血が繋がっていなく、母がパパと夫婦だったのはたったの二年間なのだ。母が死んでしまった今、あっという間に身支度を調えさせられ、どこかの施設に入れられるにちがいない。

そこでわたしは、追い出されるまでの短い時間、贅沢の限りを尽くしてやれと考えた。
食事で出される料理は嗜好に関係なく高価のものから順番に胃に詰め込んだ。家を追い出されたらもう二度とめぐり合えないのだ。
パパのお金でいろいろなものが買えたから、当時好きだったお菓子を箱で買い込んだ。
押入れの中は有名デザイナーに注文して作らせた高級な子供服と、買い込んだお菓子でいっぱいになった。家を追い出されたら、それで食いつないでいこうと思っっていた。贅沢、といっても食べ物のことばかりなのだが、これはわたしの食い意地がはっているというわけではない。いや、もう、これは断じてそういうわけではないのである。




まーこの一節は物語の内容とはちょっと違う場面なんだけど、

『いや、もう、これは断じてそういうわけではないのである』

というフレーズが随所にあらわれ、効果的な笑いを誘うのである。リフレインの面白さか?そーゆうのってあるよね。
残酷なシーンに定評がある著者だけど、これは温かいお話。
『しあわせは子猫のかたち』は、僅か50頁足らずのショートショートで、生きることに少々疲れ気味の主人公が引っ越した先で幽霊と子猫と暮らすことになる物語。ちょっとした推理と、青年の心の変化とが上手く表現されている。

そして表題作は、14歳の少女ナオが、血の繋がらない家族に自分を心配させようと、敷地内のはなれに住む使用人の部屋に<失踪>する物語。最終的には誘拐事件に発展するという、なかなかなスリルもある青春ストーリーだ。クニコというドン臭い使用人がいい味を出していて、ナオとクニコのやり取りが実に面白く、微笑ましくもさえあるのだ。
ミスリードというわけではないけど、携帯電話の盲点というか、簡単にわかるトリックなのに叙述の巧みさで騙されてしまう。・・・しかもその騙され具合が温かく、読後感は格別だ。

中学生とか、小説にまだ慣れてない人には超お勧めですね。
読みやすいし、面白いし、人間の成長とかいろいろ感じることができる。
同じ著者がサスペンスホラーも描くとは本当不思議だけど、このシリーズは大丈夫です。

あと著者乙一さんの定評ある<あとがき>も堪能できます(笑)
普通にエッセイとか書いても面白いんだろーなって思いますね。

さて本のキャッチコピーなら

少女が走り抜けたあと、季節は大人になる。

AKB48とかでドラマにしたら人気でそう(笑)

失踪HOLIDAY

失踪HOLIDAY
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2011.08.02 / Top↑
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