小説レビュー その他もろもろとか。

ここんとこ連続して読んでますねー・・・大崎さん。
おかげ様でどっぷり鬱状態(笑)

別に暗い話とかじゃないんだけど、爽やかに明るく未来に羽ばたく!な感じじゃないので、のめり込めばそれだけ気分はジメジメとした陰鬱な場所を行ったり来たり。
今回の『ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶』は人が死なないだけよかったかな。
静かな物語のなかで、人が結構壮絶な死を遂げる話が多いんですよ・・・大崎さんの作品は。
そんななか、出会いと別れの物語ではあるものの、父と娘、母と娘などの物語もあって、なかなかよかったです。
まー毎度の事ながら、美しい風景や情景を魅せてくれる大崎さん。珠玉の四編をまとめた短編集です。




「さよならの速度には気をつけるのよ」

母の言葉が思い出される。
人それぞれに別れのスピードがあって、それは百キロで離れていく人、十キロで離れていく人など様々だという。そうして、その別れるスピードをうまく合わせられないと体を引き千切られてしまうのだ

母の言った通りだと思う。
全くその通りだ。

離れたくないと思う私の速度と、離れていこうとする智也の加速度。

さよならの速度の違いが、生木を引き裂き続けるようにザックリと身体の半分を削ぎ落としながら、落ちる先の見えない暗闇に向かって転落し続けている。
さよならの速度を見誤ったばかりに・・・

そして私は海の底に沈んでいった。
海中を悶え苦しみながら沈み続け、そしてここに落ちてきたのである。

キャトルセプタンブルというこの広場に・・・




これは『キャトルセプタンブル』という作品からの一部要約。
なんともいえない美しい情景が映しだされる感じがいいですよね。

っていうか、<キャトルセプタンブル>・・・9月4日という地下鉄の駅名ですが、この際立つネーミングセンスはフランスだから?とか思ったり(笑)
※カトル=セプタンブル駅(―えき、Quatre-Septembre、キャトル=セプタンブル駅)は、フランス・パリ2区にあるパリメトロ3号線の駅。
駅名の「カトル=セプタンブル」とは9月4日を意味し、東西に走る9月4日通りからとられている。なお9月4日通りは、皇帝ナポレオン3世の廃位と第三共和政の開始が宣言された1870年9月4日を記念して命名されたものである

地下鉄キャトルセプタンブル駅入り口 
↑↑こちらが駅入り口の階段

まーこの駅名だけで確かに小説書きたくなるだろうなーと思う。
超ロマンチックだよねー。日本じゃ絶対無理(笑)

その他の作品も、鎌倉の海だったり、ドイツイエローという熱帯魚だったり、ハンガリーの青い空だったり・・・どれもがロマンチックであり、それだけで美しい情景を思い浮かべてしまう・・・そんな風景との融合が小説に厚みをもたらし耽美な文章をさらに際立たせてるんだなーとか感じてしまい、つい心の壁が脆くなって涙してしまうワタシなのだ。
セピア色の装丁も美しいしね。

大崎さんの作品は、恋愛真っ最中の人には勧められないなぁ(笑)
失恋直後はもっとダメ!うっかりすると、闇に飲み込まれちゃうかもしれない・・・

失恋後、落ち着いて心が再生に向かう途中で読むと、きっと癒される・・・そんな作品が多いです。


優しい追憶の時間に微睡む四つの物語

何か普通な説明で、キャッチには向かないなぁ・・・うーん・・。

ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶

ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶
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2011.07.06 / Top↑
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