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2014年10月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:761ページ
ナイス数:140ナイス

本日は大安なり (角川文庫)本日は大安なり (角川文庫)感想
結婚式というハレの舞台にそれぞれの思惑が絡み合うという差し詰め4組のマリアージュ。物語はウエディングプランナーの矜持もしっかりと描かれていて、心にするすると入り込んでは琴線を刺激してくる。たった一日のために注ぎ込む想いとは、言い換えれば愛の重さに比例するのだろう。『見世物だ』『茶番だ』などと揶揄する声があろうとも、結婚式とはやっぱり大切な儀式なのだと改めて思わされてしまう。それにしても、わかりやすい伏線すらその収斂に導く辻村深月の筆致は実に巧みで、氏の描く人物は嫌な女ですら魅力的に輝きを放つ。勘弁してよ。
読了日:10月13日 著者:辻村深月


不機嫌な果実 (文春文庫)不機嫌な果実 (文春文庫)感想
満たされないオンナの達観が、滑稽なまでの生き様をさらけ出す物語。主人公麻也子が不倫に堕ちてゆく自分への言い訳が驚くほどご都合主義でゾクゾクする。『計算』という言葉がこれほどまでに淫靡に満ちた響きを奏でるのかと、麻也子の妄想はどこまでも果てることがないのだ。いつまでも美しくいるための恋は常備薬であるのだけれど、度を過ぎるとそれは麻薬と化して心を少しずつ浸食してゆく。あってはならぬ逢瀬を繰り返すごとに、艶やかになる女性の美しさは磨き抜かれたガラスのように輝くのだろう。冷たい笑顔だけを残して。悦びは堕落なのか。
読了日:10月12日 著者:林真理子

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