小説レビュー その他もろもろとか。

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1168ページ
ナイス数:204ナイス

ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)感想
江戸川乱歩コレクションであれば相当なもので、またそんな人が考えそうな仕掛けや暗号がこれでもかと出てきて感心。軽いミステリーだとしても充分すぎるくらい楽しめる。五浦くんの素人推理ももはやビギナーズラックではない<何か>を感じさせますしね。ここにきて母である篠川智恵子を含めた人物相関が解き明かされてきて、否が応でも興味をそそられるし、それとは別に、『栞子さん』『大輔さん』と呼び合える仲が発展して、念願のデート?までも漕ぎ着けた二人の関係にも興味シンシン。このシリーズも佳境に突入な雰囲気だけど、まだ楽しめそう。
読了日:5月16日 著者:三上 延
スワンソング (角川文庫 お 49-6)スワンソング (角川文庫 お 49-6)感想
<死ぬ間際の白鳥は、最も美しい声で歌う>という伝説からの引用であろう『スワンソング』というタイトルには遠く及ばない。主人公の優柔不断さと二人の恋人が辿る道も現実離れし過ぎている。もちろん抜き出した文章は美しく哀切漂う物語ではあるのだけれど、なんというか生への力が感じられない。ケータイのない時代の恋愛から時を経て、カーナビでかつての恋人が待つ土地へ向かうというモチーフは美しく感じるが、最後の1ページですべてが興ざめである。白鳥の美しい声はワタシにとって呪詛を唱えているようにしか聞こえない。子は呪われたのだ。
読了日:5月16日 著者:大崎 善生
玩具の言い分 (祥伝社文庫)玩具の言い分 (祥伝社文庫)感想
オモチャを玩具と記しただけで、何か艶めかしさを感じてしまう。いや、それは<言い分>としたそこに<人>を感じさせられたからだろうか?そんなニヤリとさせる比喩使いの抜群な巧さが、朝倉かすみたる所以であろう。全篇に渡りイタい乙女の純情、あるいは事情とやらを惜しげもなくさらけ出し、四十路を闊歩するオンナとその影に隠す淫靡な世界観をつぶさに繰り広げる六篇の短篇集で、どれもノドの奥で笑いをかみ殺すようなデキである。それでいて読後ほんの僅か、残り香のような哀愁を感じさせるのは<ほんとうの女>に気付かされたからだろうか。
読了日:5月9日 著者:朝倉 かすみ
エンジョイしなけりゃ意味ないね (幻冬舎文庫)エンジョイしなけりゃ意味ないね (幻冬舎文庫)感想
選ぶ言葉のセンスとリズム感が抜群で疼く心を抑えられない。ちょっとしたあるある感に頷き、イタイ女をあからさまに見せつけられてぐうとなり、共感したくないはずなのにそこかしこに自分を発見してみたり。見もフタもない日常の些末がこんな恥ずかしいことだったのかとあらためて実感させられる。イタさ加減で云えば『おしゃべり仮面』が痛烈か。恥部をあらわにしたようなブログを延々と綴りながらきっと無表情でPCに向かっているであろう<トンブリ>の滑稽な姿を想像してしまう。そんな自分も少々口角が持ち上がってお間抜けな姿であるけれど。
読了日:5月4日 著者:朝倉 かすみ

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