小説レビュー その他もろもろとか。

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:552ページ
ナイス数:165ナイス

やさしいため息 (河出文庫)やさしいため息 (河出文庫)感想
ちょっとだけ人に見せたくない自分自身の内面を俯瞰しつつ、ぼんやりと流れてゆく時間にそっと寄り添う物語。小学校の夏休みに書いた一行日記を何故か思い出す。そんなに毎日がドラマチックであるはずがないのに、何故か見栄を張ってウソを並べてみたり・・・。現代の希薄な世の中であれば、人との関わりを持たなくとも別段不思議ではないし、自身が傷つくことも皆無であろう。無理はしない?事なかれ主義?生きることへの執着心が人生に変化を与えるまでもなく個人主義の人々。ちょっとだけ背伸びをしたら、風太の日記は厚みを増すのかもしれない。
読了日:3月21日 著者:青山 七恵
かけら (新潮文庫)かけら (新潮文庫)感想
日常の、本当に些細な空気の揺れを描写した三つの短篇集。どの作品にも共通する<居心地の悪さ>がジワリと忍び寄る不思議な感覚・・・それは、年頃の娘と父が旅するさくらんぼ狩りでの一日や、結婚を間近に控えた僕が別れた女性との日々を忘れゆく空ろいの時間であったり、異分子である親戚の娘を預かるはめになった新婚夫婦の意外な一面など、微妙な空気感に苛まれつつやり過ごす有様に、読者自身が何某の経験を重ね合わせてしまうからなのか。人は劇的な変化がなくとも、日々時間の経過とともに心配と安堵とを繰り返しながら歳を重ねてゆくのだ。
読了日:3月8日 著者:青山 七恵
生協の白石さん 学びと成長 (一般書)生協の白石さん 学びと成長 (一般書)感想
独特の間と文体に優しさと笑いのペーソスが抜群に絡まる素敵な時間。質問の悪ふざけに対しても絶妙の線引きをしていて、それでいて導き出す回答ひとつひとつに趣を持たせる白石さんの配慮は、教育者として有能な資質に溢れている。学業を教えるのではなく大人として教えてあげたい『人生のたしなみ』のような、それは先生や教授ではなく身近に居る大人から感じるものであって、大概それはアルバイト先の店長であったりするのだけれど、この『学びと成長』という事業に対した白石さんなりの回答は、世の若者みんなの心に響く良薬(クスリ)だと思う。
読了日:3月5日 著者:白石昌則

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