小説レビュー その他もろもろとか。

『和色』・・・日本名表記での色の種類は300を超える。
色名の由来は様々で、動植物、鉱物、人名、地名、自然など多岐に渡り、
古代に生まれた古代色、時代とともに語り継がれた伝統色、また色そのものを捉えた固有名色、
それに付属する彩語、装飾語を組み合わせ、その慣用色名は小説などの美しい描写に一役買っている。

鶯色(ウグイス)鳶色(トビ)鶸色(ヒワ)など野山で見かける鳥たちに由来する色名のなかで、
朱鷺色(トキ)は日本本土での絶滅が2003年に記録され、簡単には見ることのできない色になってしまった。
この朱鷺の繁殖を日本で実現するためには中国から譲り受けた番いにかかっていたのだが、
この度めでたく愛らしい雛が確認され、研究者たちはひとまず胸を撫でおろしているだろう。

『ニッポニアニッポン』の学術名を持った日本の名鳥でもある朱鷺が<日本本土には生息していません>
ではお話にならない。伝統色でもある朱鷺色が、移りゆく季節の中で大きく羽ばたいて行く姿を
過去の映像ではなくこの目で確かめてみたい。

※個人の感想ですw
2012.04.23 / Top↑
3月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1880ページ
ナイス数:215ナイス

疑心: 隠蔽捜査3 (新潮文庫)疑心: 隠蔽捜査3 (新潮文庫)
超堅物の竜崎警視長(大森署署長)の活躍を描く第三弾。キャリア官僚でありながら自らの原則に基づく行動は大胆で破天荒・・・しかも本人は微塵もその采配に疑いを持たないという<当たり前の事を当たり前に行なうと変人になる>という抜群の面白さ。ただ今回の設定は特殊すぎるかな・・・。シリーズを続けて読んできた読者にはわかるけど、単発でこの小説を読んでしまった人には竜崎の恋心などとてもじゃないけど理解の範疇を超えてしまうと思われる。ただし竜崎ファンであれば『エオリパク』を調べるくだりは堪らなく、納得の結びに本を閉じよう。
読了日:03月26日 著者:今野 敏
神様のカルテ (小学館文庫)神様のカルテ (小学館文庫)
三篇の中篇からなるデビュー作。主人公『一止』さんの古風な語り口で紡がれる昭和の趣が実に温かい。読み進むにつれ、安曇野の景色を想いながら人生の終焉について読者は深く考えさせられるだろう。最先端医療と命の現場・・・双方の使命は互いに交えども溝は埋まらない。実直であるが故、自問自答する青年内科医の悩みは深い。その一止を支える妻ハルや、同僚、看護師、御嶽荘の住人たち・・・すべてが清々しくも優しい風に宥められ、満天の星空が奇蹟を起こそう。それぞれの温もりに心を赦してもらえるような、そんな涙が生への道標となるように。
読了日:03月21日 著者:夏川 草介
グレイメングレイメン
腐敗に足掻く現代社会を糾弾する。一読して、本村洋さんが司法と闘い続け、先月『死刑』を勝ち取った『光市母子殺害事件』が脳裏を過ぎった。国家権力に対し抗うことなど大凡敵わぬことだが、絶大なカリスマであるグレイの手によってこの<暴挙=大儀>は滞りなく導かれていく。混迷を続ける政府や警察権力の不条理さに疲弊した読者には爽快感すら漂うのではないか。グレイは、死に向かう覚悟をした人間には必ずサインがあると云う・・・自らの命を絶つというその魂の憤りが感じられるのであれば、グレイは現代の救世主になり得るかも知れないのに。
読了日:03月12日 著者:石川 智健
少女 (双葉文庫)少女 (双葉文庫)
薄ら寒い小説。著者の描く悪意は、人が隠し持つ深層心理のベールを剥いで核心を弄ぶ。『死』とはこの世界からの『退場』であって世の中になんの影響も与えないと。死ぬほど追い詰められる気持ちほど一番の友人には打ち明けたくない・・・そんな簡単なことも大人たちは知らないのかと読者をも糾弾する。自殺とは敗北宣言であり、そんな恥ずかしいことは絶対しない・・・それすらもナルシストの戯言だと斬り捨て命を絶つ究極の心情を読者に投げ掛ける。もしもこの小説を手に取る読者の心が弱っていたとしたら『バイバイ』と削除ボタンを押しかねない。
読了日:03月08日 著者:湊 かなえ
武士道エイティーン (文春文庫)武士道エイティーン (文春文庫)
『武士道』の真髄やいかに。己の道は己で究めよという著者の思いが感じられる。脇役である美緒が香織のコピーではないオリジナルを求めるくだりや、緑子がモデルとして模索する姿、桐谷家の背景や、酔っ払い教師吉野の過去など、それぞれの挿話を通して足掻きもがく16才~18才のこどもから大人になる大切な<何か>を心に感じさせてくれる。これからの香織、これからの早苗。進む道は違うのかもしれないけれど、お互いに感じる『武士道』はひとつ。親友などという陳腐な言葉では表現できない魂の繋がりは、この先永遠に途切れることはないのだ。
読了日:03月02日 著者:誉田 哲也

2012年3月の読書メーターまとめ詳細
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2012.04.13 / Top↑