小説レビュー その他もろもろとか。

TVがデジタル移行して一週間。

我が家では、昨年4月に引っ越した際『ひかりTV』に加入していたのでどう?ということはなかったのですが、世間様ではそこそこの混乱があったようですね。
結局TVをデジタルにしてもネットに繋いでないので、まだそんなにデジタルの恩恵を受けてない感じ。家の中のインフラ整備がちっとも進んでいなく、未だに無線LANも導入されてない(笑)

そんなこんなですが、今日の読売新聞『放送塔』というコーナーでアナログ画面からデジタルに移行する瞬間の話題が掲載されていた。これがちょっと『うるっ』としてしまったので、ここでも取り上げてみちゃいます。

確か7月24日正午にアナログ放送が終了してデジタルに切り替わったわけですが、そのときは青地に白抜きの文字で

『只今をもって、アナログ放送をすべて終了いたします』

な画面だった。そう、27時間TV見てたけどそんな画面だった。

で、その日の夜0時に本当の『砂の嵐』に切り替わったわけなんだけど、あーもっと気にしてればよかった・・・ちゃんと切り替わる瞬間に、TV局各社でそのためだけの画面を用意してたんですねー。
YouTubeで色々各社の画面を見てみたけれど、新聞にあったように<鳩の休日>という昔ながらの画面が一番感慨深かった。
この<鳩の休日>は、むかし午前1時~2時くらいでTV放送が終了してたころ見てましたよ。
久々に見ると、なんか懐かしい時代が自然と思い出されて・・・こう、時代をタイムスリップするってゆーか不思議な感覚ですよね(笑)起きてちゃいけない時間に起きてましたみたいな(笑)
で、この懐かしい<鳩の休日>が消えると共に、

『58年間ありがとうございました』のテロップとNTVの文字・・・

何故こんな泣きそうになるんだろう。
『放送塔』からコーナーを担当したライターの方同様時代の重みを感じ、感傷的になりました。なりましたとも。

ちなみにフジテレビは近未来的映像でグイグイ押しまくり、それはそれで新しい時代の到来を予感させるなかなかの出来栄えですけどね。っていうか、そういう放送局のほうが多かったかな。

ということで、日テレとフジテレビ両方比べて見てみてくださいね。





ワタシは日テレかなぁ・・・。
2011.07.31 / Top↑
世の中<地デジ>で混乱中?
2001年からデジタル放送移行を決めて早十年・・・今更TV買い替えとか、地デジチューナー探しとか、UHFアンテナ工事とか、そりゃ間に合うわけないじゃん!推定20万強の世帯が困ってるというけれど、そのうち自業自得な世帯はどんだけなんでしょーね?
どうせなら地デジ対応機器すべてをNHK契約を条件に販売すれば受信料未納がゼロになったのにねって思う。
なんでこの機会を有効に使わなかったのか、NHKトップの馬鹿さ加減にただ呆れてしまふよ。ふー

と、なんら関係のない時事ネタでしたが、本当は『ZOO1・2』を再読してみた読書感想なのだ。
著者の乙一さんは、最近ぱっとしなく(笑)多分2006年に『失はれる物語』を最後に映像世界に没頭していたのか今年の春『箱庭図書館』という実験的図書が出版されるまでマニア以外はお目にかかることがなかった。
ちなみにこの『箱庭図書館』は、乙一さんが、ウェブで実施した「オツイチ小説再生工場」という企画から産み出したユニークな連作短編集で、読者から送ってもらった小説のボツ原稿を乙一さんがリメーク!当然ながら元ネタは全てバラバラ。このバラバラな素材6編の小説をすべて「文善寺町」という架空の地方都市を舞台とし、登場人物を重ね合わせてゆくことで、一つの世界を造り上げてしまったという離れ業を魅せてくれている。
まーホント才能ですね。っていうかオタク(笑) 
 
箱庭図書館

箱庭図書館
再読した『ZOO1・2』も2006年に出版された晩年の文庫←晩年はひどいか(笑)ですね。
1と2で、おまけのショートショートを入れると11篇の短篇集。
1のほうが秀作ぞろい。2は少々笑いを取ろうとした『血液を探せ』や『落ちる飛行機の中で』なんていう作品があるので一般的評価は下がる傾向のよう。
人気は『SEVEN ROOMS』という黒乙一と『陽だまりの詩』という白乙一に集中する。(どちらもZOO1に収録)
二冊はもともと一冊の単行本だったので商業的何かがあったのかわからないけれど、意図的な・・・著者の思惑とはちょっと違う過程を経てこんなことになったんじゃないかと思いますけどね。

全体を通せばどれも極上の叙述トリックで、ミスリードの卓越した技を掻い潜りながら『やられたー』という著者の策略にやっぱり嵌り、そして黒い空気を浴びながら余韻を楽しむという感じでしょうか。




写真は描写である。一瞬の風景を枠の中に切り取る。これは俳句や詩に近い。文字と絵という違いはあるが、どちらもある重要な一瞬を抽出し、永遠にとどめようとする試みだ。
では写真を何十枚、何百枚と連なれば・・・前にある写真よりも一瞬だけ後に撮影したものを次に並べ、高速で切り替えればそこに時間が生まれることになる。例えば、最初は泣いていた子どもが、最後には笑った顔になっている。心の変化を見ることができるのだ。<一瞬>を重ねれば<時間>が生まれる。それは<変化>を生み出すことで、それが<映画>なのだと俺は思う。




小説に見立てているけど、ほぼ独白のような著者の映画観だと思う。
何かうまく言い表せないけど、すごく心に響く一節だったので要約して載せてみました。
小説本文は叙述トリックが多いためどれも掲載が難しいのよ。

まーこの乙一さんを勧めるのは苦労する。
ジャンルを説明できないからだ。
妙に心温まる作品と、グロい描写で恐怖一色で染めてみたり、読者を騙す一心で悪どい叙述トリックを駆使したり・・・ホラー・ミステリー・SF・ファンタジー・恋愛・・・すべて融合するわけでなく一つ一つの物語として存在するから難しいのだ。

本作に関しては、叙述トリックに挑戦したい読者にお勧めか?でも『陽だまりの詩』では泣きそうになる温かいはなしなので注意です(でも『陽だまりの詩』も叙述トリックが巧妙です)



本のキャッチは超ムズい・・・

読み始めから注意しろ。もう騙してるのだから。

おや?って思ったらもう騙されちゃってる証拠ですよ(笑)

ZOO1・2

ZOO1 ZOO2

2011.07.23 / Top↑
まー凝った作品ですねー。
主要人物は九人と一匹・・・駅前の外人さんを加えたり新興宗教教祖の高橋を含めればもっと多くなるけど、とりあえずこんな感じ。
普通の小説ならこの登場人物数はちょっと多いと思う。読者が混乱しちゃうから。
そんな、混乱しそうな多数の視線から語られる別々のストーリーを巧妙な仕掛けを駆使して結末へと誘い、美しく交錯していく様は実に圧巻で、<凝ってるなー>という印象に自然と繋がっていってしまう。うーんマンダム(笑)

ワタシが読んだ中では、恩田陸さんの小説『ドミノ』を想起しましたね。こちらは登場人物が二十人以上という著者は何かの限界に挑戦したのか?(笑)ってくらいのコメディーな味付けで描かれてましたが、それでも登場人物の書き分けは完璧で個性ある脇役たちがズラズラ登場して暴れまわってましたよ。
本作、伊坂さんの『ラッシュライフ』はなんと登場人物の人生観まで掘り下げていて、これはこれでなかなかの豪華な味付け。解説にもあったとおり<群像劇>を兼ね備えたミステリーの秀作なのであります。




『俺は人生に抵抗するのをやめたんだよ。世の中にはもっと大きな流れがあって、それに逆らっても結局のところ押し流されてしまうものなんだ。巨大な力で生かされていることを理解すれば怖いものなどない。逃げることも必要ない。俺たちは自分の意思と選択で生きていると思っていても、実際は<生かされてる>んだ。そうだろう?俺はそう思うことにしたんだ』

黒澤は笑った。

『君は面白いことを云う』

佐々岡も笑った。
少しして佐々岡が口を開く・・・

『変わった青年がいてね、<未来は神様のレシピで決まる>と彼は云うんだ。多分彼の云う<神様>は普遍的な何かを指すんだろうな。もしかしたらさっき君が云ったことと同じ意味合いかもしれない。運命というよりは、よほどいいと思わないかい・・・私たちはレシピのままに魚の泳ぐままだ』

そう云って佐々岡は頬を緩めた。

『俺たちが今日ここで遭ったのも<神様のレシピ>に書いてあることなのかもな』

そう云って黒澤は佐々岡を眺めた。




どうも著者の伊坂さんは神憑り的なものがお好きなようだ(笑)
モチーフとしても何か崇高な感じがするし、霊力的な雰囲気もあるからねー。

それにしても読み始めるのには少々の勇気がいると思う。簡単に読もうとすると後々失敗するか面倒くさくなるか(笑)
どういうことかというと、基本的なストーリーが四本同時に進行していて、20頁くらいの間隔でそれぞれのストーリーが循環していくのだ。読者は四本分のストーリーを記憶しながら読み進めなくてはならず、その分の登場人物も読み込まなくてはならない。
まー人間の記憶力はそんなに大したものじゃなくて、普通の長編小説でも主役級の登場人物は3~4人とされている。登場人物の描き分けは大変で、読者に感情移入させるようにその人物像を深く掘り下げようとすればそれだけ多くの頁数を割かなくてはならず、ましてや人数が増えれば増えるほど主人公との関係性も描かねばならなくなってしまうからだ。
この小説は主要な人物が8~9人・・・10人くらいか。頁数は約450ページなので、一人45頁ほどで的確な人物像を描ききらなくてはならない。
読者はそれを承知で読み進めなくてはならないのだから堪らない・・・相応の読解力が試されるとともに、ミステリーの要素を含んでいるゆえ同時進行でその推理力も試されるのだ。

本気で騙されたくない人はかなり慎重に読まないとやられてしまう(笑)
ペンとノートで登場人物と起こった現象を記録しながら読み進め、事あるごとに突き合せないと失敗してしまう。

まーそのままグイグイ読んでも『あーやられた!』となるだけなので大した事ないんだけどね。
それでも時系列を含んだミスリードが張り巡らされてるので、何度も読み返したりするのが嫌な人は、一語一句落とさずに読み進めて欲しいな。

それにしても、『オーデュボンの祈り』や『重力ピエロ』に繋がる登場人物、特に<黒澤>という人物がいい味を出している。他の小説に跨る活躍があるとなんだか楽しめますよね。
こーゆうちょっとした遊び心は読者にとっても堪りません!!!!

では本の腰帯として、

人生は脇役になった瞬間から面白くなる。

何とゆーか大きな意味合いでまとめてみました。ちなみに本物の腰帯は下記の画像を拡大してね。

それぞれの人生が交錯するスピード感が堪らなく、なだれ込むような伏線の回収劇に何度も読み返し『あぁー』と声を上げてしまうほどの感動がありますよ!まさに珠玉の一冊なのだ。

ラッシュライフ

ラッシュライフ
2011.07.22 / Top↑