小説レビュー その他もろもろとか。

姫川玲子シリーズの第一弾。

この間、第三弾の「シンメトリー」を先に読んだんだけど、主人公やその他脇役までもキャラ立ちが濃く、実に魅力的な活躍をみせるので、ちゃんと最初から読もうと心に固く誓っていたワタシ。

警視庁捜査一課第十係・姫川班の仲間と、相対する捜査係や刑事などの軋轢を交えながら、ある種猟奇的とも思える殺人事件のカラクリを暴くことが大筋として進行する。
さらには主人公姫川の、職務に対する心情や心の変化を丁寧に描写してみせ、どうみても嫌なやつと思われるベテラン刑事の観察眼をチラつかせたり、何かもう盛り沢山な内容で読者を飲み込もうとする一冊なのである。




結構グロい殺人描写。
麻薬に溺れ腐った父親をカッターナイフで切り裂き、人格を失った母親までもその手にかける。
そして火を放って死体を焼き払った「僕」の精神はすでに破綻していたのか・・・

主人公の姫川警部補は、ノンキャリアであるが27歳で警部補に昇格、現在29歳で捜査班の主任を担っている。通常ならば30歳過ぎにようやく昇進試験に合格するであろう輩を差し置き、異例のスピード出世なのだ。
そのため、部下は姫川よりも年上が多い。ただ持ち前のカンのよさで次々と事件を解決に導く実力を兼ね備え、飛び切りの美貌も一役買ったりして、姫川班のチームワークは上々なのである。

事件は発生した。
青いシートにグルグル巻きにされた死体遺棄事件。その死体は無数の刺し傷に加え喉元を切り裂かれ、さらに30cmを超える切創がみぞおちから股関節まで達しているのだ。
死体遺棄の状況を確認したが、何か腑に落ちない姫川。相棒の井岡を連れて再度現場を確認することに。何かに閃いた姫川はその状況を確認しただけでもう一人の死体が遺棄されている可能性を指摘した。そしてヨミ通り遺体は発見されたのだ。
捜査範囲の拡大と共に捜査方針が変わり、捜査員の補充が行なわれる。姫川の嫌う第5係の勝俣班5名が追加されることになった。勝俣は姫川を牽制する・・・「おまえの発想は危険だぜ」

その後事件は膠着状態が続くも姫川の部下大塚が何かを掴みかける・・・ストロベリーナイトというWEBサイトで殺人ショーが配信されているという情報を得たのだ。

同時進行で、母親の緊急入院など些細な出来事が降りかかる。それは過去の姫川に原因があり、今も姫川の心を苦しめているのだ。しかしその過去の事件をきっかけに今の姫川があり、そんな姫川に纏わる経緯も交えながら、事件は驚くべき方向へ進化していくのだった。




この事件で活躍するのは第五班の勝俣警部補である。主人公の姫川は事件解決に貢献できていない。それどころか途中から精神的ダメージを引きずり良いところなしなのだ。
なのに面白い!姫川の心理描写と、勝俣が見抜いた姫川という人間そのものに驚愕すら覚える。脇に出てくる井岡という刑事も味がある。馬鹿キャラなのにベテラン勝俣に一目置かれたりするのだ。例えば、聞き込み捜査は二人一組が基本の行動スタイルだが、面倒くさい勝俣はだいたいコンビになった刑事を撒いて一人で行動してしまう。そんな中サウナで一休みする勝俣のところに井岡が裸で現れるのだ。

「勝俣主任~こないなとこいらしたんですか~」
「テメェなんで俺がここにいるって分った」
「さぁなんでですかなぁ~勝俣主任はお風呂に入りたいんちゃうかなぁと思って、まずサウナやろなぁとかそんな感じですわ」
・・・そんなはずはない。捜査本部は亀有でこのサウナは新大久保。地域を指定して捜査をしていないのに、こんな遠くにいると突き止めるのは不可能だ・・・この野郎、油断ならねぇな・・・わざわざ全裸で入ってきたところ見ると、ここに俺がいることを承知で入ってきたとしか思えない・・・


なんとも心惹かれる下りである。
まー結果この勝俣の観察眼から姫川の本当の姿が暴かれるのだから堪らない。冒頭の「危険だ」という意味が最後に明かされるのだ。

さすがにホラー出身の作家さんなので、グロい描写がそこかしこに出てくる。この手の描写が苦手な人は止めたほうが良いかもしれない。想像しても我慢できる人には是非お勧めしたい警察小説である。特に際立った推理は無くミステリー風ではないので、謎解きとか期待しないように。

心の奥に戦慄が走る。過去の呪縛から逃れる姫川は何を失ったのか。

次のソウルケイジも期待大!

ストロベリーナイト
ストロベリーナイト
2011.03.31 / Top↑
LISMOでこの「阪急電車」のスピンオフドラマが4月より配信されます。
映画も4月下旬に公開されるようです。


小説の舞台は阪急今津線という宝塚市とか西宮市とかですね。この電車の乗客にまつわる悲喜交々が、温かく描写された短編集であり、登場する人物は少しずつ各編の人物と繋がっているという長編ドラマでもあります。

今津線?・・・埼玉県に住むワタシにとって土地のイメージが湧きづらく、大阪辺り?神戸?とか本当すいません。きっと関西圏の人や九州の人とかの「さいたま市」のイメージが、さっぱりわからないのと同じだろう。
さいたま市でイメージできるのは「スーパーアリーナ」とか「埼玉スタジアム(サッカー場)」くらいか?それに比べて「宝塚歌劇団」や「甲子園球場」「阪神競馬場」など何か歴史を感じるしかっこいいなぁって思うのは、隣の芝生は青い現象なのか?(隣じゃないけど)




電車に一人で乗っている人は、大抵無表情でぼんやりしている
だから、
一人で、
特に暇つぶしもせず、
表情豊かな人はとても目立つ・・・

征志が宝塚駅から隣り合わせて座った女性・・・足蹴く通っている図書館で、いつも征志が狙った本や興味ありそうな本を奪っていく気になっていた女性だ。毎回ちょっと苛立ちながらも、少々好みのルックスに押されて萎えてしまう・・・そんな彼女が偶然にも今日征志の隣に座ってきたのだ。
彼女は武庫川に電車が差し掛かると、後ろを振り向いて外の景色を見始めた。そして少しワクワクするような笑顔で高架下を眺める姿に、征志も彼女に釣られて高架下を窺ってしまった。

「あっ」

思わず声を漏らす征志。
高架下に流れる武庫川の中洲に、「生」の文字が石で積み上げられて立体的に造形されていたのだ。

「すごいでしょ」

と声をかけられる征志。
この字が選ばれた経緯を推理する彼女との話は盛り上がりつつも、彼女は降車駅に近づく。
次にいつ逢えるかわからない・・・もう少し話をしていたい征志に彼女は言葉を投げかけた。

「この次会ったとき、一緒に呑みましょうよ。”生”ビールをジョッキで」と。

うろたえる征志。連絡先もわからないのに・・・

「よく中央図書館来てるでしょ。だから次会ったときに」

と、彼女は軽やかな足取りでホームに降り立った。

彼女は気付いてたんだ!自分は逆にロックオンされてたんだ!
征志はホームに飛び降りた・・・




この会話を聞いていた次の章の主人公が、また別の話を繰り広げていくという仕組みである。この今津線一駅ごとに、心の隙間を温めてくれる出来事が次々展開していく小説は、なんと往復分16編で構成されている。

もちろん今津線は実際の鉄道であり、情景描写も緻密で現実のものである。
なので、この1話目の「生」も実際の出来事なのだ。作中ははぐらかされているが、阪神大震災10年後の2005年、同市の現代美術家大野良平さん(51)が、震災からの「再生」の意味を込めて制作されたものなのである。

武庫川の「生」の字(2011年バージョン)
20m×15mの本格的オブジェ!

ちょっとした人生の機敏を鋭く温かく、著者の人格までもが滲み出るようで荒んだ気持ちが癒される。
あとはやっぱり関西弁であろうか?

関東人に響く関西人のイントネーションが実に温かいのである。しかも不思議なことに関西人になった気までしてしまう(笑)「ほかしたらあかん!」みたいなちゃんとした発音で喋られる気分になっている自分が実にオカシイ。正確には関西弁とひとくくりにするのは如何なものかと思うけど、残念ながらそこまでの知識は持ち合わせていないので、これはお許し下さいね。

さて著者の有川さん・・・どうみても「ヒロシ」なんだけど女性の方ですよ!アリカワヒロさんです。かくいうワタシもしばらくは知らなかったんだけどね(笑)

ちょっとした勇気で、ひとりひとりが主人公なんだ。

今日も心のローカル線は片道15分の道のりを往復するのでした。

阪急電車
阪急電車
2011.03.30 / Top↑
引っ越して1年が経過しようとしている。

家の中は当然片付いているんだけど、押入れや、天井裏収納などはダンボールのままである。
それどころか、ここ最近仕事のないワタシは小説三昧で一気に100冊を超える文庫が部屋に溢れてしまった。
だいたい今まで小説半分映画半分だったのに、映画は当分なし(計画停電やらの影響か?)である。もはや、もうひたすら読み続ける毎日がワタシの宿命かもしれない。

片付いていないといえば庭も然りである。

せっかく庭があるのに、おっかない毛虫がうじゃうじゃ寄ってくる「椿」が幅をとっていたりして、ワタシが妄想する何とかガーデンとは偉い違いなのだ。今年こそ何とかしたい!
で、いろいろ庭木を探しているのである。
そこそこ管理が楽な常緑樹なんかを探してますが、落葉樹も捨てがたい・・・ハナミズキなど、あれほど店で落ち葉掃きに奔走したのに懲りないのである。

妄想するイングリッシュガーデン象

まー庭を何とかするついでといっちゃぁなんですが、今夏の計画停電を見越して

グリーンカーテン

も視野に入れてますよ。はい。

グリーンカーテンとは緑のカーテン(当たり前)で、学校などの公共施設や、そこそこの商業施設なんかで取り組む環境対策ですね。窓際にゴーヤとかヘチマとかのつる性植物を育てて真夏の日差しを遮り、冷房費を節約(エコ)しようというやつなのだ。
このグリーンカーテンにチャレンジして、なんとか夏の計画停電時にもエアコンなしで少しでも涼しく過ごせないかと思案中なのである。なんと外壁と窓をグリーンカーテンにすると6℃くらい室温に差が出るらしく、ここまで頑張れば、

チームマイナス6%

に入れてもらえるんじゃないか(笑)・・・そんなチームじゃないけどね。
ちなみに冷房するときも温度は「28度設定」がチーム6%の鉄則だ。守れるのか?

そうそう、昔ヘチマを育てた時は、その異常なまでの成長ぶりにおったまげた記憶があって・・・夏が終わり枯れてくるときが滅茶大変なんですよ。つるとかぐるぐる巻いちゃってて枯れてもなかなか取れないし、茎とかの残骸も大量になって・・・それさえなかったらなー。

まー今年はゴーヤでチャレンジかな?食べられるし(笑)

ちなみにゴーヤもちょっとだけ育てたことがあって、そんときは熟すまでほったらかしにしてたら超オレンジ色になった。まーそれだけですけど。

熟したゴーヤはこうなる!


関西電力/グリーンカーテンをご存知ですか
グリーンカーテン(豪快だ)
2011.03.29 / Top↑