小説レビュー その他もろもろとか。

この著者のまっすぐな思いは全くブレないですねぇ・・・
いかなる著者の書籍をみても必ず「エーアイ」と呼ばれるヴァートプシー技術を用いた死因のデジタル究明(非破壊検査のような感じ)を提唱、今回の小説は完全にこの問題に焦点を絞った内容となっている。

死因が確定しないと死亡診断書がだせず、法律上死が確定しないため死因の多くは「心不全」という適当な死亡理由をつけて診断書が出される現実。
本来であれば遺体を解剖して原因究明しなければならないのだが、まず遺族の反対(死んだ直後に解剖とは心理的に難しい)と費用(病院の負担・・一体25万円ほどかかる)など様々な問題があり、医師はよほどの事が無い限り心不全(心臓が停止した)という「原因」ではない「状態」を死因とした書類を作成する。
エーアイという技法(遺体をレントゲン検査するような感じ)であれば解剖をせず(遺体を傷つけない)詳しく死因を究明できるわけで、この新しい技法を普及させようと著者は必死なのである。

国というかお役所(厚生労働省)はなかなか遠回りで動かない。
(いろいろな医療過誤事件でもそうですよね・・・なかなか国の非を認めない、しょうがないけど)
また医者同士の利権、病院間の利権など人間自体のエゴも絡み、現場の医師不足などそっちのけで教授レースに夢中である。
・・・なんて小説なので多少の脚色はあるでしょうが、著者の海堂氏も現場の医師なので本当に現場の声なんでしょうね。自分の得意である文章でマスメディアに訴える勇気ある行動だとワタシは感じている。

当然同業者(同僚や他の医師)からの非難を受けると思う。
またファンと呼ばれる読者からも、今回の著書に対しては「私欲のためにメディア媒体である小説を利用するとは残念だ。行き過ぎではないか?」などの意見も多数寄せられている。

それでもワタシは毎回この問題を提起し奮闘する著者を応援したい。この問題に取り組むために小説家としてヒットする作品を提供、地盤を固め著者の生涯を懸けたテーマでもあろうこの問題をいよいよ声高に発信したわけだ。売れるために事務所の方針でいやいや他人の曲を歌わされていたアイドルが、ようやく自分のやりたかった役者になるみたいな感じじゃなかろうか?無理やりだけど、批判が集中するのは著者も承知の上で出しているその心意気を大切にしたい。

ということで、内容はほぼ今回の主人公と上層部、お役所との舌戦でミステリーではないのでアシカラズ。(白鳥さん、田口さんはもちろん活躍!)手に汗握る頭脳戦という妙技を楽しむことが、読者の選ぶ道なのである。
イノセントゲリラの祝祭㊤㊦
イノセントゲリラの祝祭
2010.04.28 / Top↑
「ちょんまげぷりん」という文字の流れと勢いだけで本書を手に取ったわけですが、そういうのって大事だと思う。

文章は、内容も芸術でありその言葉の勢いも必要じゃないかな・・・
例えば

「貧乏」びんぼう

・・・どうみても残念な言葉の響き。でもこれが

「ボンビー」

となっただけで妙にファンキーな気持ちになるのだ。
文章は読んでいながらその言葉の響きを心で反芻したりして言葉の「音」までも無意識に楽しむものなのである。

また文面も改行の位置など視覚的な部分で、開いた紙面の文字列の美しさとか絶対あると思っている。
ただ文字の羅列では紙面が美しくない・・・そのために言葉を選んだりして同じ内容でも絵面としての紙面を考える作家は少なくないとどこかに書いてあった。
確か文章全体の漢字とひらがなの比率で、全体の30%以上漢字が占めていると堅い文章に、それ以下になると幼稚な文章に見えるとどっかの教授か学者さんが言っていたのも聞き捨てならない。

少々脱線しましたが、この「ちょんまげぷりん」という脱力するタイトルとは裏腹に、結構な社会風刺もあり楽しめる内容となっている。
女性の社会的立場、仕事と家庭の両立、男性の主夫、現代の教育など、話は面白くまとめていながらも、結構本質をずばずばと突いてくる、ダメな大人にとってちょっと耳が痛い部分もどーんとくるわけだ。

このちょんまげプリンは「チームバチスタの栄光」の中村義洋監督がメガホンを取り今夏映画公開予定となっている。
確かに映画化、アニメ化しても面白い作品であろう。笑わせて泣かす内容で小学生から大人まで楽しめる、さすが小学館さんと感心しきりである。
ちょんまげぷりん
映画ちょんまげぷりん公式サイト
2010.04.23 / Top↑
「アバター」は観ることができなかったけど、ようやく今回3D映画を初めて観ることとなった。

「アリスインワンダーランド」

ティムとジョニーで話題になってるけど、もともと不思議の国のアリスは興味深い話だったので、そこから発生させた内容とあらば前々から観ようとワクワクしていたのだ。決してジョニー様様だからというわけでない←強く主張。

公開3日目、映画館も結構な賑わいで、久々並んでチケットを買うことになった(レイトショーにもかかわらず、さすが3番の大スクリーンなのだ)

さて3D映像ですが、微妙に目が慣れない感じで、全体がキレイに3D化されていても実際のスクリーン上では、ボケて見えてしまう部分もあり全部にピント(自分の目の焦点)を合わせるのは難しいようである。
今はへんてこなサングラスのような眼鏡をかけて見るのですが、いづれ3D専用スクリーンとかできるんでしょうね・・・ハリウッド映画は今こぞって3D映画を撮りまくってるので、映画館側も急いでハードを揃えなくちゃならず、経済の活性化に一役買うことになるのか3D。

ジョニーはいつもどおり「変人化粧」の白塗りで、それでも目と眉毛の演技だけで十分!存在感は圧巻なのだ。

不思議な映像や、どこかおどろおどろしい雰囲気はティム監督の思うところで、この個性的な映像マジックは好き嫌いも多分にあるのではないか?
ワタシは映画「シザーハンズ」でジョニーとティムの組み合わせを初めて観たんだけど、あまり言葉を発さない主役が白塗りのハサミ男という斬新極まりない設定と、どこか懐かしくもあり怖く温かいいろいろなものがごちゃ混ぜになる内容、ジョニーの哀切漂う雰囲気と目の演技に当時衝撃を覚え、それから大ファンである。

今回ジョニーは主役ではないが、主人公の女の子を完全に食ってしまっている(しょうがないけど、そんな演出だし)ポスターもジョニーが真ん中だしね(笑)
残念なのは、内容はそれほどでもない。面白いといえば面白いけど、シザーハンズのような輝きは感じられず(チャーリーとチョコレート工場もそうだったけど)映像と雰囲気だけでどうにかしようみたいな、3Dにもまだ慣れてないようだし。

みんな思うかもしれないけど、ダンスはいらないか(笑)
ってこれは言っちゃダメだった?
アリス・イン・ワンダーランド
ジョニー様
2010.04.19 / Top↑